このたび、日本の研究者がいっぺんに3人も、ノーベル物理学賞を受賞したことを受けて、

日本国総理大臣である安倍晋三くんはさっそく、

「人材こそが日本の誇る資源」…というコメントを発表しました


そらそうや、ノーベル賞を取るような「優秀な人材」は日本の財産…と

ぼくも一瞬、思わんでもないんですけど、

今回ノーベル賞を受賞した3人のうち、一人はアメリカの大学の教授になってたんですよね

(これは素直に考えて、「(優秀な)人材の海外流出」ってことになると思います)

とすると、晋三くんの言う通り、仮に、「人材こそが日本の誇る資源」なのだとしたら

その貴重な資源を海外に持って行かれないようにする…というのが、

日本の生きる道(…というか、彼らが言うところの「成長戦略」)ってことになると思うんです


ところが、つい最近、社員が発明した特許権が、原則、企業側に渡るような法改正案が

政府与党から出てまして、これはどない考えても

(優秀な)人材の海外流出を加速させることにしかならへんのやないか…と、ぼくは考えるんです

そやかて、このたびの受賞者のなかでアメリカの大学に職を得た人は

発明した特許の報酬を巡って会社と対立して、結局その会社を退職し

アメリカの大学からスカウトされて、アメリカに渡ったわけですので

社員発明の特許権は原則、社員にあるという現行の制度の元でも

発明に見合った対価が得られなかったから…という形での海外流出があるのに

それが最初から企業のモノってことになると、技術開発に携わる社員のモチベーションは下がり

人材のさらなる海外流出に繋がることにしかならんやんけ…と思うからです


晋三くんは、その他にもコメントのなかで

"この受賞を契機に、…人材力の育成を強力に進めるとともに、魅力あふれる研究環境を整備することで、
 我が国が「世界で最もイノベーションに適した国」となるよう目指してまいります。"

と述べてるんですけど、なんでこういう、「言うてることと、やってることが逆さまなこと」を

臆面もなく堂々と言えるのか…

それは誠に不思議な光景としか言えないんですが

これほど「言葉の軽い」人間が政治をやったらアカンやろ…というのが、ぼくの素直な実感です

(…というか、「言葉の軽い人」って要するに、「人間としても軽い」ってことやしね…)




※最後に…

晋三くんの「空疎な言葉」とは裏腹に、日本の厳しい…というか、遅れた研究環境について

このたびのノーベル賞受賞者の一人が語る記事があったので、紹介しときます

ノーベル賞、勝因は「怒り」=日本企業に苦言も―中村さん(時事通信 10月8日)

【サンタバーバラ(米カリフォルニア州)時事】青色発光ダイオード(LED)の開発でノーベル物理学賞の受賞が決まった米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授の中村修二さん(60)は7日、同校で記者会見し、「怒りがすべてのモチベーションだった。怒りがなければ何も成し遂げられなかった」と研究生活を振り返った。~

社員時代は青色LEDの開発に孤軍奮闘。退職後は発明の対価をめぐって日亜化学と裁判で闘った中村さんは、鋭い言葉で日本の研究環境や企業を批判してきた。会見では米国を研究拠点に選んだ理由について「研究者に多くの自由が与えられ、一生懸命やれば、みんなにチャンスがある」と語り、「日本では性別や年齢などの差別により、全員にチャンスがあるわけではない」と残念がった。~